2019年
2019年5月 第181回さわやかネット句会 作品 特選句短評  
2019年5月 吟行句会(第108回あすなろ句会) 作品  
2019年4月 第180回さわやかネット句会 作品 特選句短評  
2019年3月 第179回さわやかネット句会 作品 特選句短評  
2019年2月 第178回さわやかネット句会 作品 特選句短評  
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第181回さわやかネット句会  (2019年5月)                  参加者:17名

 
 

■ 作 品

紅薔薇や小指の傷の脈の音         飯塚 武岳  最高点句

役者絵の首のディフォルメ梅雨兆す     舞岡 柏葉
傘ささぬ山手の異人走り梅雨         川瀬 峙埜
きらきらり江戸切子杯夏が来る        たま四不像
役終へし免許返納清和かな          翁山 歩存
子面の役になりきる夏袴            名瀬庵雲水
恨めしき役者の顔や夏芝居          境木 権太
区役所の地下に図書館夏浅し        岡田 克子
現役をふと懐かしむ更衣             ただの凡庸
葭簀より映りし光数えたり           石   敬
悪役の末路じたばた夏芝居          真野 愚雪
夏の蝶赤子の声す昼下がり          志摩 光月
「かんにんどすえ」と声かけられし夏の旅   千草 雨音
でる人無く鉢あふれアマリリス      菊地  智
切り抜きや今日も役立ち蕗を煮る      小正 日向
緑陰に翼震わせ白孔雀            野路 風露
独り身の揺らぐはこころ小判草        森 かつら


   

第181回インターネット句会特選句短評  

岡田克子選

特選  紅薔薇や小指の傷の脈の音 (飯塚武岳)
 読み手の小指もずきずきさせる。「脈の音」が妙でした。

     きらきらり江戸切子杯夏が来る(たま四不像)
 何のスポーツか忘れましたがテレビでチラッと見ました、江戸切子のトロフィーがとてもキレイで印象的でした。季語も効いています。

    現役をふと懐かしむ更衣(ただの凡庸)
 制服の有る職務についていたのでしょうか。一斉に夏服に着替えた昔を懐かしむと同時に仕事仲間の顔が浮かぶ。

    役者絵の首のデイフォルメ梅雨兆す(舞岡柏葉))
 そく、写楽の役者絵が浮びました。中七の措辞が良かった。

    切り抜きや今日も役立ち蕗を煮る(小正日向)
 新聞等の今日の料理の欄をいつか役立つのではと丹念に切り抜きする作者。 今日は蕗を買い求めさっそく切り抜きした「美味しく蕗を煮る」を参考に家族の美味しいねの言葉を聞きたくて蕗を煮る。

今月の一言

切字は定型を身につけるに欠かせない。 三大切字「や」「かな」「けり」

 石田波郷は「諸君は無理にでも、や、かな、けり、を使へ」と言っています。
但し、切字は一句に一つです。上五の「や」中七の「や」下五の「や」、だけでなく中七に置く場合もあります。芭蕉は「四十八字皆切字なり」と言っています。 
俳句は奥が深いんです。
例  遠足や教師の重き救具箱   境木権太
例  ままごとの店に並ぶや落ち椿   小正日向
例  春の雨仏具磨きて過しけり   志摩光月
例  露玉に潤む草木穀雨かな   翁山歩存
例  はるばると桜の山の出羽路かな   真野愚雪

 


区役所の地下に図書館夏浅し(岡田克子)                         
(たま四不像)今回はどれも「わかりやすさがある句」を選んだ。わかりやすさは「それがどうした」とか「説明的」になりがちだが、この句は「夏浅し」という季語で雰囲気と臨場感がでて、わかりやすい=常套句になるのを救っているように感じた。

夏衣主役を取りし衣文欠け(石 敬)
(ただの凡庸)薄着になり衣文掛けを使わなくなった。からの衣文掛けを主役に表現した面白い句だと思いました。

寅彦の生家のあとや夏来たる (たま四不像)
 (志摩光月) 漱石の明治時代を彷彿させると共に、我輩は猫であるを読んだ学生時代が 蘇って来ました。

役者絵の首のディフォルメ梅雨兆す(舞岡柏葉)
(名瀬庵雲水)凡そ俳句には馴染まないと思われる " ディフォルメ " と言う語を用いたのが、興味深い。パロディーの一種なのでしょうか ? 俳句的には " デフォルメ " で良いのかも知れません。

「ごめんね」と幼女は草を引ひており(名瀬庵雲水)
(千草雨音)優しさを絵に描いたような俳句に、優しい気持ちにさせられました。 

紅薔薇や小指の傷の脈の音(飯塚武岳)
(境木権太)美しい紅薔薇には思わず触ってみたくなるものです。チクリと痛みを感じて、小指に薔薇の紅のような真っ赤な血が僅かに滲んだのを見て、自分の脈の音を感じた細かな観察眼に感心
しました。
(野路風露)心臓の鼓動が聞こえて来るようです。薔薇と小指の組合せが良いですね。

役終へし免許返納清和かな(翁山歩存)
(飯塚武岳)高齢となり車の免許証を返納したのだろう。葛藤もあったと思うが気持ちもスッキリして爽やかになったという。他人事ではないので共感しました。

きらきらり江戸切子杯夏が来る(たま四不像)   
(石 敬)ガラスの音の響きも聞こえます。Ra、Riの音が次々重なり続くところが効いてますね。

諏訪の湖植田取り込み広がりぬ(境木権太) 
(翁山歩存)諏訪湖の周辺の田に苗が植えられ 、湖と一体になって広がりが感じられるところが良い。                                       
(真野愚雪)諏訪湖の風景は記憶の中に納まっていますが、植田がひとつになって広がる風景は見たことがありません。心が空と水に洗われるようなその風景の前に立ちたいと思いました。

母逝きて慈愛(いつく)し庭に雑草(くさ)茂る(ただの凡庸)
(菊池 智)雑草の生命力は想像以上にすごいものです。我が家の狭庭もまさにこの状態です。腰を上げるのが面倒?

額の花吾に謙虚を説きたまい (真野愚雪)
 (森かつら)謙虚ではない人、面白い句。

傘ささぬ山手の異人走り梅雨(川瀬峙埜)
(舞岡柏葉)イギリス人はステッキ代わりに傘を持ち歩きながら、多少の雨なら差さないないとか。横浜の山手ならさもありなんと思いました。視点がユニークで面白い。。

ライオンの尻だけ写る夏の旅 (岡田克子)

(川瀬峙埜)旅は出かける前はワクワクしますが帰って来ると思い出は期待していたほどでもありま
せんそんな状況をユーモラスに表現しています。

   

吟行句会(第108回あすなろ句会)              5月23日 野毛動物園 参加者10名

■ 作 品

若葉食む麒麟の首のぐいと伸び   飯塚武岳  最高点句

ねずみ抱く子等の笑顔や五月晴   小正日向
片目開けトラの寝顔や風薫る     野路風露
コンドルの岩の孤影や薄暑光     舞岡柏葉
フラミンゴの脚の細さや若葉風    真野愚説
コンドルの耳の穴見え夏の空     岡田克子
新緑を風と歩みし野毛の坂      石  敬
檻の前遠足の子の脚止る       翁山歩存
羽広げ孔雀が飛んで夏の空      大野たかし 
フラミンゴキリンと並ぶ白十字     志摩光月


 
   

第180回さわやかネット句会  (2019年4月)                  参加者:17名

 
 

■ 作 品

表具師の作業無駄なし柿若葉       千草雨音  最高点句
茶道具の自慢話や山笑う           飯塚武岳  最高点句

ままごとの店に並ぶや落ち椿        小正日向
夫の夜具直す余寒や朝まだき       真野愚雪
鼻欠けたビクターの犬木の芽雨      岡田克子
日は斜め一人静の白極む         菊地 智
春の雨仏具磨きて過ごしけり        志摩光月
包丁のどんと三浦の春大根(だいこ)   たま四不像
住処とて有りや無しやと百千鳥       名瀬庵雲水
家具の後白き畳に風入る          ただの凡庸
黒海苔の干したるかをり柴漁港       森 かつら
花は葉の京より集う仏らが          石  敬
絵の具箱揺らして登る桜山         川瀬峙埜 
藤房や日毎に垂れる長さかな       境木権太
絵の具混ぜたパステルカラー夏木立   舞岡柏葉
新隊員の初外出や街うらら         翁山歩存
牡牛座の貴方に贈る紅の薔薇       遊戯好楽

   

第180回インターネット句会特選句短評  

岡田克子選

特選  表具師の作業無駄なし柿若葉(千草雨音)
       軸物、屏風、ふすまなど仕上げる職人さん。本ふすまの張替を見た事がありました。手     際よく仕上げていきました。「作業無駄なし」の措辞が良かった。
     茶道具の自慢比べや山笑う(飯塚武岳)
       水さし、棗、茶碗、茶筅などを友人達としっかりと見定めている景。
     季語が効いています。
     春の雨仏具磨きて過しけり((志摩光月)
       外はやわらかい春の雨の降る日。仏壇のまえに座り、先ずは位牌からつぎにおりんを     磨いていく。心安らかなひねもす。
     草月の活ける驛舎や緑摘む(名瀬庵雲水)
       生け花の流派の草月流。活花の近くには色紙が掛けてあり俳句などが書いてある。こ     の「驛舎」で駅の佇まいが伺われて良かった。センスがいい。
     包丁のどんと三浦の春大根(たま四不像))
       「どんと」で大根の大きさが想像できる。活写がありました。
今月の一言
     一句一章は、一物仕立て
     何々の   季語・何が  どうした
     例 くるがねの  秋の風鈴   鳴りにけり    飯田蛇笏
     例  大輪の    椿の花に  小鳥くる     大野たかし   

     どうして  下五の説明   季語               
     例 をりをりて はらりとおもき  すすきかな   飯田蛇笏
     例 かすれ清し  万葉仮名の   春書展     千草雨音   

     どこで   どうして    どうした
     例 水面に   浮き上がらずに  水母浮く    茨木和生
     例 烏帽子岩を  飲み込む卯波  荒ぶるる    舞岡柏葉


(特選句短評)

ままごとの店に並ぶや落ち椿(小政日向)
(ただの凡庸)落ち椿を拾ってままごとをしている小さな女の子の姿が見えてくる。 

絵具箱ゆらして登る桜山(川瀬峙埜)                          
(たま四不像)この句を選んだのは非常にシンプルだったから。シンプルな句には「わかりやすい」という強みがある。この句からもそれを感じられた。単純とか簡単なだけでは幼稚となりがちだが、この句は桜の絵を描きたいワクワク感などシンプルな句の裏にさまざまな思いが見え、その状況も情景もこちらに伝わった。

日は斜め一人静の白極む(菊池 智)
(千草雨音)朝の陽射しでしょうか?わずかな光の中で一人静の小さな花の白が清らかに極まっている。息をのむような光景ですね!

包丁のどんと三浦の春大根(たま四不像)
(飯塚武岳)三浦大根を豪快に料理している様が気持ちよく表現されている。 

表具師の作業無駄なし柿若葉(千草雨音)                               
(舞岡柏葉)どの職種でも職人さんのメリハリのある仕事ぶりは思わず見とれてしまいますね。多分寡黙な職人さんの巧みな技だったのでしょう。

夫の夜具直す余寒や朝まだき(真野愚雪)
(名瀬庵雲水)余寒を感じながら夫の夜具を直す配慮、目に浮かびます。朝まだきは、例句として、幾つか有るようですが、上五、中七を受け下五としてぴったりの言葉選びだと思います。    
(菊地 智)細やかな愛情 風邪などひかないように見守っ 

花は葉の京より集う仏らが(石 敬)                           
(翁山歩存)京都東寺の仏像が東京で展示されていることを 詠んだものと思われる。意表を突いた発想がよい。

茶道具の自慢比べや山笑う(飯塚武岳)
(遊戯好楽)茶道具の自慢と季語の山笑うがうまくマッチしている。             
(川瀬峙埜)「 山笑う 」という季語に対して 自慢比べ を 対応させた事が 俳諧味あり

洋館を若返らせし蔦若葉(千草雨音)
(森かつら)若葉が若返らせた古い洋館洒落た一句                     
(境木権太)壁に纏った蔦の瑞々しい若葉が古い洋館を若返らせたと見る情景描写が巧み。

川の上風と戯る鯉の群れ(ただの凡庸)
(石 敬)景色が目に浮かびますね。光る川面の上に張られたいっぱいの鯉幟が風に吹かれ、まるで 泳いでいるような姿を、今日テレビで見たばかりです。

春の雨仏具磨きて過ごしけり(志摩光月)
(真野愚雪)平易な言葉の組み合わせでありながら、しっとりと充たされた日常の時間が よく表わされています。自分の生活には、もはや喪われてしまったこの句の世界に センチメンタルな郷愁を覚えます。

鼻欠けたビクターの犬木の芽雨 (岡田克子)
(志摩光月)田舎の古い大きな家、静けさ、物思いに耽る気品のある老齢の人。 情景豊かな句と思います。

黒海苔の干したるかおり柴漁港(森かつら)
(小正日向)潮風が感じられ景色を一緒に見てるようです。

   

第179回さわやかネット句会  (2019年3月)                  参加者:18名

 
 

■ 作 品

八百年(やほとせ)の時もたまゆら西行忌     真野 愚雪   最高点句
火葬場のまつすぐ上は木芽晴             たま四不像
春時雨走る背(そびら)に千の粒           翁山 歩存
秒針の動き緩やか日永かな                飯塚 武岳
遍路行く芝居の幟続く路                境木 権太
花冷えや時計の針の音響く              志摩 光月
八十路過ぎ蘖萌芽時を継ぐ              菊地  智
夜桜や十六両の窓灯                  森 かつら
はしゃぐ子の口に飛び込む散る桜          小正 日向
大山の稜線太し目借時                 舞岡 柏葉 
線香の煙眼で追ふ春彼岸              岡田 克子 
被災後に初めて産まる仔馬立つ          千草 雨音
身体折りくさみ続けて花見かな           川瀬 峙埜
冴え返る煌めく星の露天風呂            遊戯 好楽
うぐひすの谿より出でて法(のり)のこゑ      名瀬庵雲水
大道の火を吹く芸や桜舞う              野路 風露
夕闇に導きたりし花明かり              石   敬
大岡川肩にひとひら初桜               ただの凡庸

   

第179回インターネット句会特選句短評  
 

 岡田克子選

特選  夜桜や十六両の窓灯(森かつら)
       夜桜見物に。近景に桜そして遠景には丁度新幹線が走り去っていった。
     ライトアップされた桜の灯りと動く新幹線の窓の灯りが幻想的です。

     単調な講師の声や目借時(飯塚武岳)
      単調な声は子守唄となって、そうでなくとも春は眠気が襲ってきます。           
     兼題を上手に使っていました。

     時越えて都踊りはよーいやさ(千草雨音)
      舞子さんのういういしさと華やかさが浮びます。「時越えて」が効いています。「都をどり」
     に。

     遍路行く芝居の幟続く路(境木権太)
      四国の遍路道の中途に、四国こんぴら歌舞伎開催の幟が風にはためく中を横目に次の
     札所へ黙々と歩き続ける。

     蒲公英の数をかぞえて塾の道(たま四不像)
      子供の頃の追憶でしょうか。あまり見かけなくなった日本蒲公英、西洋蒲公英が多いです
     ね。たんぽぽの句と言ったら次の句が浮びます。

     たんぽぽのぽぽのあたりが火事ですよ   坪内稔典
     

     今月の一言
     二句一章とは取り合せ仕立て

    季語・や  誰が・何が  どうした
例 蛍火や   少年の肌   湯の中に   飯田龍太
    季語・や  何がどこに  何がどうした
例 菜の花や  月は東に   日は西に    蕪村
    季語・や  下五の説明   名詞
例 行く春や  ほのぼののこる 浄土の図   水原秋櫻子


(特選句短評)

秒針の動き緩やか日永かな(飯塚武岳)          
(たま四不像)「時」とはもちろん物理的な時間もありますが、気分によっても年齢によっても行動によっても感じ方が変わります。その「秒針までが穏やかに過ぎる」ように感じたことを、「日永」という季語で表したのは素晴らしい気づきと思いました。

春時雨走る背 ( そびら ) に千の粒(翁山歩存)
(名瀬庵雲水)" 千の粒 " と詠んだのが効果的。粒として認識できるのであれば、雨は然程 ( さほど )でもないのか。" 千の粒 " で雨足の強い状況を詠むのであれば、春驟雨の方が合うか。

八百年(やほとせ)の時もたまゆら西行忌(真野愚雪)                   
(菊池 智)日本語は美しいですね!悠久の時の流れから見れば800年は暫時です。奇しくも忌日は3月21日東京で開花宣言が出た日です。                                  (翁山歩存)全体の詩の流れもよく、時の経つ速さがたまゆらでよく表れていると思う。          
(舞岡柏葉)現代でも愛されている西行の若。800年の時空もたまゆら(わずかな時間)ととらえている作者。そして我々の100年の生涯など・・・という感慨でしょうか。         
(飯塚武岳) 桜をこよなく愛した西行が没して八百年。過ぎてみれば一瞬。今年もまた桜の季節が廻ってきたが、世の無常、はかなさをうまく詠んでいる。
 
 蒲公英の数をかぞえて塾の道 (たま四不像)
(森かつら)子ども達が花を数える姿がうかびます。

華を競う花に早生(わせ)あり晩生(おくて)あり(翁山歩存)
(遊戯好楽)花見してた時 咲き誇っている花とまだ蕾のを見たときの情景を思い、
自分も歌いたかった状況を上手に詠んでいるいると思い戴きました。

里暮れてはくれん仄と灯りおり(真野愚雪)
(千草雨音)夕闇に咲くはくれんを、こんなに美しく表現されたことに感じ入っております。
「はくれん」と仮名を使われたのも、また心憎いです。

八十路過ぎ蘖萌芽時を継ぐ(菊池 智)
(ただの凡庸)庭木のひこばえを見て時代の流れを感じた。作者の気持ちが分かるような気がした。

風光るしだれ桜の枝の先(志摩光月)                            
(石  敬)きらきらときらめく川面につくかつかぬかと垂れそよぐ枝先に、 風が光ると表現するとは、秀逸な句ですね。

身体折りくさみ続けて花見かな(川瀬峙埜)
(小正日向)くしゃみをしている方の様子が見えるようです。

春時雨走る背(そびら)にの粒(翁山歩存)
(境木権太)変わりやすい春の天気。俄かに振り出した時雨に慌てて 雨宿りに走る人かそれとも犬か動物か。その背中は無数の雨粒に濡れている。「背」を「そびら」と読ませ、無数の雨粒を「千」と表現したことに感心しました。浮世絵の大橋の状況を髣髴とさせます。

花冷えや往時を偲ぶ能舞台(境木権太)
(野路風露) 花冷えと能舞台がとてもよくあうと思いました。

火葬場のまっすぐ上は木芽晴(たま四不像)
(真野愚雪)作者は 目の前に広がる普段の生活の風景をまっすぐ見つめます。そして、そこには日常の中にある生と死の姿がそのままあります。

(川瀬峙埜)悲しみを通り越して乾いた感じがします。きっと大往生なのでしょう。「死」という事実

が句の中では何かユーモラスにも感じます。火葬場の上は天国でしょうか?


   

   

第178回さわやかネット句会  (2019年2月)                  参加者:18名

 
 

■ 作 品

痛みとて生くる証や春疾風        名瀬庵雲水   最高点句 

芽柳の京の老舗の金平糖        千草雨音
菜の花や園児の帽子見えかくれ     志摩光月
仮設所の軒端華やぐ吊るし雛      境木権太
永平寺の僧の蹠(あしうら)春障子    岡田克子
笑み浮かべ古き雛や母の影       野路風露
ほくほくと土筆のならぶ畔の道      ただの凡庸
のどけきや妻の小言もよく響き      真野愚雪
ドイツミサ春の寒さをやさしくす      たま四不像
古書街や少し早目の春セーター     舞岡柏葉
蕗の薹天を窺い顔を出し         飯塚武岳
苺パフェ平らげ匙も舐める舌       川瀬峙埜
マスクしてマスクを避(よ)ける診療所  翁山歩存
片付けてまた出して着て春時雨     石  敬  
祖母尋ぬ杣家を囲む山笑ふ       遊戯好楽
宴会も平和のあかし花見かな      小正日向
あれこれと悩みは尽きぬ木の芽どき  森かつら
曇天に平野も雪の注意報        菊地 智

   

第178回インターネット句会特選句短評  
 

 岡田克子選

特選  横浜の海とショパンと春の雲(たま四不像)
     山下公園から穏やかな海を見るのが好きです。句全体に癒しを感じました。
    ショパンのワルツのせいでしょうか。季語がふんわりと幸せにしてくれました。

     平成の想ひ出乗せて春が行く(ただの凡庸)
     小渕さんが「平成であります」とついこの間に聞いて様に思います。
    アット言う間に平成も30年4か月で終わります。嬉しいことも悲しいこともありました。この句    の様に春風が平成の想い出を乗せていきます。
  これも別れの句。

     菜の花や園児の帽子見えかくれ(志摩光月)
     菜の花畑に遠足の景が浮びます。菜の花の丈と園児の背の丈が
    どっこいどっこいなんですね。 下五が良かった。

     空青き菜の花の海に飛び込む(野路風露)
     空は青いし菜の花畑は黄色一色できれいだし、おもわず海のようだ
    と飛び込んだ心象句。作品が青春しています。

     人波の川面に映る花見かな(志摩光月)
     内容は簡単ですが、大岡川沿いの花見時はまさしくこの様な感じです。  素直な句です。

    今月の一言
   助詞力をアップする 
 
   「で」=原因、結果となる、なるべく使わない方が良い。
   「は」=取り出したひとつのたとえ「空は茜色」とか。
   「を」=時間、空間を現わす。
   「に」=きづき、場所。
   「へ」=動きの方向、句に動きが出る。


(特選句短評)

苺パフェ平らげ匙を舐める舌(川瀬峙埜)
(千草雨音)とても美味しい苺パフェだったのでしょう!「匙を舐める舌」に子供の表情が目に浮かびます。

山吹や平成の日々しめにけり(志摩光月)
(ただの凡庸)山吹の花ことばを調べたところ「気品・崇高」でした。平成が終わることを上手に詠んだと築きました。

草餅のかわく仏間で眼鏡とる(岡田克子)
(たま四不像)毎日の繰り返しである生活を句にするのはなかなか難しい。その点、食べ物を季語にすると季節感が良く出る。この句はそういう意味でも面白いと感じた。「草餅のかわく」で季節感がでて、それが「仏間」という特別の場所、「眼鏡とる」で作者の登場により現実味が伝わる。「かわく草餅」に「仏間」そしてなぜか「眼鏡をとる」、この意外性の連続が余韻となり物語的想像が浮かぶ句であった。

蕗の薹天を窺い顔を出し(飯塚武岳)           
(翁山歩存)春が近づき蕗の薹が芽生える雰囲気をうまく表現していると思いました。 

のどけさや妻の小言もよく響き(真野愚雪)
(境木権太)いつもの妻の小言もうららかな春の陽気の中ではのどかに響きます。幸せな家庭の日常を巧みに詠んでいます。

ほくほくと土筆のならぶ畔の道(ただの凡庸)
(遊戯好楽)土筆の並ぶ様子を「ほくほくと」がなんとなく春の温かさを感じた。

痛みとて生くる証や春疾風 (名瀬庵雲水)

(森かつら)春疾風・・春先に吹く強い風の呼び名のひとつ・・勉強になりました。
痛みは暖かくなるにつれ和らぐと詠みました。

永平寺の僧の蹠(あしうら)春障子(岡田克子)
(菊池 智)只管打坐ひたすら座禅する僧静かな雰囲気の中障子を通し柔らかな春の訪れが描かれています。

笑み浮かべ古き雛や母の影(野路風露)
(舞岡柏葉)幼い日に両親が娘の幸多き人生を願い求めた雛のでしょう。小さかった頃気が付かなかった古き雛の笑みに母の面影を発見した喜びの情景が目に浮かびます

マスクしてマスクをを避(よ)ける診療所(翁山歩存)
(名瀬庵雲水)冬の季語ですが、滑稽さを感じます。自分も同じ事を無意識にしているかも。
 病院や医院でなく診療所にしたところは、語呂も良く、味わいのある句 になったと思います。

菜の花や園児の帽子見えかくれ(志摩光月)
(小正日向)園児たちのはしゃぐ声が聞こえてくる黄色く染まる菜の花畑が見えるようです。

仮設所の軒端華やぐ吊るし雛(境木権太)
(飯塚武岳)被災地の仮設所で暮らす人々にも春は巡ってきます。吊るし雛が厳しい生活を癒し希望をもたらしてくれます。生きることへの逞しさ明るさが感じられます。
(野路風露)吊るし雛が元気を与えてくれると良 いですね。

碓氷とけて相模の風土記かな(たま四不像)
(川瀬峙埜)古い昔の歴史の謎が少しずつ氷が解けていくように分かっていくのはなんだかワクワクして清々しい春を迎えたような気分ですね。 

空青き菜の花の海に飛び込む(野路風露) 
(石 敬)景色への感動、気持ちの躍動が伝わる生き生きしたテンポのいい句ですね。ドーンと飛び込みたくなる一面の黄色い花畑、先日皆で行った南房総の情景です。

若鮎や前行く子らの長き脚 (千草雨音)                
(志摩光月)季語の選択がよく、また 詠み手の心情を含め状況がよく見える秀句と思います。

 ドイツミサ春の寒さをやさしくす(たま四不像)
 
(真野愚雪) しらべて意味を知る前に、先ず「ドイツミサ」という異教的な憧れを掻き立てるようなことばに引き付けられます。それが 凛とした「春の寒さ」と共鳴し合って清しく響きす。個人的な嗜好では「やさしゅうす」とよみたいです。

 


   

   

第179回さわやかネット句会  (2019年3月)                  参加者:18名

 
 

■ 作 品

八百年(やほとせ)の時もたまゆら西行忌     真野 愚雪   最高点句
火葬場のまつすぐ上は木芽晴             たま四不像
春時雨走る背(そびら)に千の粒           翁山 歩存
秒針の動き緩やか日永かな                飯塚 武岳
遍路行く芝居の幟続く路                境木 権太
花冷えや時計の針の音響く              志摩 光月
八十路過ぎ蘖萌芽時を継ぐ              菊地  智
夜桜や十六両の窓灯                  森 かつら
はしゃぐ子の口に飛び込む散る桜          小正 日向
大山の稜線太し目借時                 舞岡 柏葉 
線香の煙眼で追ふ春彼岸              岡田 克子 
被災後に初めて産まる仔馬立つ          千草 雨音
身体折りくさみ続けて花見かな           川瀬 峙埜
冴え返る煌めく星の露天風呂            遊戯 好楽
うぐひすの谿より出でて法(のり)のこゑ      名瀬庵雲水
大道の火を吹く芸や桜舞う              野路 風露
夕闇に導きたりし花明かり              石   敬
大岡川肩にひとひら初桜               ただの凡庸

   


第179回さわやかネット句会  (2019年3月)                  参加者:18名

 
 

■ 作 品

八百年(やほとせ)の時もたまゆら西行忌     真野 愚雪   最高点句
火葬場のまつすぐ上は木芽晴             たま四不像
春時雨走る背(そびら)に千の粒           翁山 歩存
秒針の動き緩やか日永かな                飯塚 武岳
遍路行く芝居の幟続く路                境木 権太
花冷えや時計の針の音響く              志摩 光月
八十路過ぎ蘖萌芽時を継ぐ              菊地  智
夜桜や十六両の窓灯                  森 かつら
はしゃぐ子の口に飛び込む散る桜          小正 日向
大山の稜線太し目借時                 舞岡 柏葉 
線香の煙眼で追ふ春彼岸              岡田 克子 
被災後に初めて産まる仔馬立つ          千草 雨音
身体折りくさみ続けて花見かな           川瀬 峙埜
冴え返る煌めく星の露天風呂            遊戯 好楽
うぐひすの谿より出でて法(のり)のこゑ      名瀬庵雲水
大道の火を吹く芸や桜舞う              野路 風露
夕闇に導きたりし花明かり              石   敬
大岡川肩にひとひら初桜               ただの凡庸

   

第179回インターネット句会特選句短評  
 

 岡田克子選

特選  夜桜や十六両の窓灯(森かつら)
       夜桜見物に。近景に桜そして遠景には丁度新幹線が走り去っていった。
     ライトアップされた桜の灯りと動く新幹線の窓の灯りが幻想的です。

     単調な講師の声や目借時(飯塚武岳)
      単調な声は子守唄となって、そうでなくとも春は眠気が襲ってきます。           
     兼題を上手に使っていました。

     時越えて都踊りはよーいやさ(千草雨音)
      舞子さんのういういしさと華やかさが浮びます。「時越えて」が効いています。「都をどり」
     に。

     遍路行く芝居の幟続く路(境木権太)
      四国の遍路道の中途に、四国こんぴら歌舞伎開催の幟が風にはためく中を横目に次の
     札所へ黙々と歩き続ける。

     蒲公英の数をかぞえて塾の道(たま四不像)
      子供の頃の追憶でしょうか。あまり見かけなくなった日本蒲公英、西洋蒲公英が多いです
     ね。たんぽぽの句と言ったら次の句が浮びます。

     たんぽぽのぽぽのあたりが火事ですよ   坪内稔典
     

     今月の一言
     二句一章とは取り合せ仕立て

    季語・や  誰が・何が  どうした
例 蛍火や   少年の肌   湯の中に   飯田龍太
    季語・や  何がどこに  何がどうした
例 菜の花や  月は東に   日は西に    蕪村
    季語・や  下五の説明   名詞
例 行く春や  ほのぼののこる 浄土の図   水原秋櫻子


秒針の動き緩やか日永かな(飯塚武岳)          
(たま四不像)「時」とはもちろん物理的な時間もありますが、気分によっても年齢によっても行動によっても感じ方が変わります。その「秒針までが穏やかに過ぎる」ように感じたことを、「日永」という季語で表したのは素晴らしい気づきと思いました。

春時雨走る背 ( そびら ) に千の粒(翁山歩存)
(名瀬庵雲水)" 千の粒 " と詠んだのが効果的。粒として認識できるのであれば、雨は然程 ( さほど )でもないのか。" 千の粒 " で雨足の強い状況を詠むのであれば、春驟雨の方が合うか。

八百年(やほとせ)の時もたまゆら西行忌(真野愚雪)                   
(菊池 智)日本語は美しいですね!悠久の時の流れから見れば800年は暫時です。奇しくも忌日は
3月21日東京で開花宣言が出た日です
(翁山歩存)全体の詩の流れもよく、時の経つ速さがたまゆらでよく表れていると思う。          
(舞岡柏葉)現代でも愛されている西行の若。800年の時空もたまゆら(わずかな時間)ととらえている作者。そして我々の100年の生涯など・・・という感慨でしょうか。         
(飯塚武岳) 桜をこよなく愛した西行が没して八百年。過ぎてみれば一瞬。今年もまた桜の季節が廻ってきたが、世の無常、はかなさをうまく詠んでいる。
 
 蒲公英の数をかぞえて塾の道 (たま四不像)
(森かつら)子ども達が花を数える姿がうかびます。

華を競う花に早生(わせ)あり晩生(おくて)あり(翁山歩存)
(遊戯好楽)花見してた時 咲き誇っている花とまだ蕾のを見たときの情景を思い、
自分も歌いたかった状況を上手に詠んでいるいると思い戴きました。

里暮れてはくれん仄と灯りおり(真野愚雪)
(千草雨音)夕闇に咲くはくれんを、こんなに美しく表現されたことに感じ入っております。
「はくれん」と仮名を使われたのも、また心憎いです。

八十路過ぎ蘖萌芽時を継ぐ(菊池 智)
(ただの凡庸)庭木のひこばえを見て時代の流れを感じた。作者の気持ちが分かるような気がした。

風光るしだれ桜の枝の先(志摩光月)                            
(石  敬)きらきらときらめく川面につくかつかぬかと垂れそよぐ枝先に、 風が光ると表現するとは、秀逸な句ですね。

身体折りくさみ続けて花見かな(川瀬峙埜)
(小正日向)くしゃみをしている方の様子が見えるようです。

春時雨走る背(そびら)にの粒(翁山歩存)
(境木権太)変わりやすい春の天気。俄かに振り出した時雨に慌てて 雨宿りに走る人かそれとも犬か動物か。その背中は無数の雨粒に濡れている。「背」を「そびら」と読ませ、無数の雨粒を「千」と表現したことに感心しました。浮世絵の大橋の状況を髣髴とさせます。

花冷えや往時を偲ぶ能舞台(境木権太)
(野路風露) 花冷えと能舞台がとてもよくあうと思いました。

火葬場のまっすぐ上は木芽晴(たま四不像)
(真野愚雪)作者は 目の前に広がる普段の生活の風景をまっすぐ見つめます。そして、そこには日常の中にある生と死の姿がそのままあります。

(川瀬峙埜)悲しみを通り越して乾いた感じがします。きっと大往生なのでしょう。「死」という事実

が句の中では何かユーモラスにも感じます。火葬場の上は天国でしょうか?


   

   

第178回さわやかネット句会  (2019年2月)                  参加者:18名

 
 

■ 作 品

痛みとて生くる証や春疾風        名瀬庵雲水   最高点句 

芽柳の京の老舗の金平糖        千草雨音
菜の花や園児の帽子見えかくれ     志摩光月
仮設所の軒端華やぐ吊るし雛      境木権太
永平寺の僧の蹠(あしうら)春障子    岡田克子
笑み浮かべ古き雛や母の影       野路風露
ほくほくと土筆のならぶ畔の道      ただの凡庸
のどけきや妻の小言もよく響き      真野愚雪
ドイツミサ春の寒さをやさしくす      たま四不像
古書街や少し早目の春セーター     舞岡柏葉
蕗の薹天を窺い顔を出し         飯塚武岳
苺パフェ平らげ匙も舐める舌       川瀬峙埜
マスクしてマスクを避(よ)ける診療所  翁山歩存
片付けてまた出して着て春時雨     石  敬  
祖母尋ぬ杣家を囲む山笑ふ       遊戯好楽
宴会も平和のあかし花見かな      小正日向
あれこれと悩みは尽きぬ木の芽どき  森かつら
曇天に平野も雪の注意報        菊地 智

   

第178回インターネット句会特選句短評  
 

 岡田克子選

特選  横浜の海とショパンと春の雲(たま四不像)
     山下公園から穏やかな海を見るのが好きです。句全体に癒しを感じました。
    ショパンのワルツのせいでしょうか。季語がふんわりと幸せにしてくれました。

     平成の想ひ出乗せて春が行く(ただの凡庸)
     小渕さんが「平成であります」とついこの間に聞いて様に思います。
    アット言う間に平成も30年4か月で終わります。嬉しいことも悲しいこともありました。この句    の様に春風が平成の想い出を乗せていきます。
  これも別れの句。

     菜の花や園児の帽子見えかくれ(志摩光月)
     菜の花畑に遠足の景が浮びます。菜の花の丈と園児の背の丈が
    どっこいどっこいなんですね。 下五が良かった。

     空青き菜の花の海に飛び込む(野路風露)
     空は青いし菜の花畑は黄色一色できれいだし、おもわず海のようだ
    と飛び込んだ心象句。作品が青春しています。

     人波の川面に映る花見かな(志摩光月)
     内容は簡単ですが、大岡川沿いの花見時はまさしくこの様な感じです。  素直な句です。

    今月の一言
   助詞力をアップする 
 
   「で」=原因、結果となる、なるべく使わない方が良い。
   「は」=取り出したひとつのたとえ「空は茜色」とか。
   「を」=時間、空間を現わす。
   「に」=きづき、場所。
   「へ」=動きの方向、句に動きが出る。


苺パフェ平らげ匙を舐める舌(川瀬峙埜)                       

(千草雨音)とても美味しい苺パフェだったのでしょう!「匙を舐める舌」に子供の表情が目に浮かびます。

山吹や平成の日々しめにけり(志摩光月)

(ただの凡庸)山吹の花ことばを調べたところ「気品・崇高」でした。平成が終わることを上手に詠んだと築きました。

草餅のかわく仏間で眼鏡とる(岡田克子)

(たま四不像)毎日の繰り返しである生活を句にするのはなかなか難しい。その点、食べ物を季語にすると季節感が良く出る。この句はそういう意味でも面白いと感じた。「草餅のかわく」で季節感がでて、それが「仏間」という特別の場所、「眼鏡とる」で作者の登場により現実味が伝わる。「かわく草餅」に「仏間」そしてなぜか「眼鏡をとる」、この意外性の連続が余韻となり物語的想像が浮かぶ句であった。

蕗の薹天を窺い顔を出し(飯塚武岳)           

(翁山歩存)春が近づき蕗の薹が芽生える雰囲気をうまく表現していると思いました。 

のどけさや妻の小言もよく響き(真野愚雪)

(境木権太)いつもの妻の小言もうららかな春の陽気の中ではのどかに響きます。幸せな家庭の日常を巧みに詠んでいます。

ほくほくと土筆のならぶ畔の道(ただの凡庸)

(遊戯好楽)土筆の並ぶ様子を「ほくほくと」がなんとなく春の温かさを感じた。

痛みとて生くる証や春疾風 (名瀬庵雲水)

(森かつら)春疾風・・春先に吹く強い風の呼び名のひとつ・・勉強になりました。
痛みは暖かくなるにつれ和らぐと詠みました。

永平寺の僧の蹠(あしうら)春障子(岡田克子)

(菊池 智)只管打坐ひたすら座禅する僧静かな雰囲気の中障子を通し柔らかな春の訪れが描かれています。

笑み浮かべ古き雛や母の影(野路風露)

(舞岡柏葉)幼い日に両親が娘の幸多き人生を願い求めた雛のでしょう。小さかった頃気が付かなかった古き雛の笑みに母の面影を発見した喜びの情景が目に浮かびます

マスクしてマスクをを避(よ)ける診療所(翁山歩存)      

(名瀬庵雲水)冬の季語ですが、滑稽さを感じます。自分も同じ事を無意識にしているかも。
 病院や医院でなく診療所にしたところは、語呂も良く、味わいのある句 になったと思います。

菜の花や園児の帽子見えかくれ(志摩光月)

(小正日向)園児たちのはしゃぐ声が聞こえてくる黄色く染まる菜の花畑が見えるようです。

仮設所の軒端華やぐ吊るし雛(境木権太)

(飯塚武岳)被災地の仮設所で暮らす人々にも春は巡ってきます。吊るし雛が厳しい生活を癒し希望をもたらしてくれます。生きることへの逞しさ明るさが感じられます。
(野路風露)吊るし雛が元気を与えてくれると良 いですね。

碓氷とけて相模の風土記かな(たま四不像)

(川瀬峙埜)古い昔の歴史の謎が少しずつ氷が解けていくように分かっていくのはなんだかワクワクして清々しい春を迎えたような気分ですね。 

空青き菜の花の海に飛び込む(野路風露) 

(石 敬)景色への感動、気持ちの躍動が伝わる生き生きしたテンポのいい句ですね。ドーンと飛び込みたくなる一面の黄色い花畑、先日皆で行った南房総の情景です。

若鮎や前行く子らの長き脚 (千草雨音)                

(志摩光月)季語の選択がよく、また 詠み手の心情を含め状況がよく見える秀句と思います。

 ドイツミサ春の寒さをやさしくす(たま四不像)

 (真野愚雪) しらべて意味を知る前に、先ず「ドイツミサ」という異教的な憧れを掻き立てるようなことばに引き付けられます。それが 凛とした「春の寒さ」と共鳴し合って清しく響きす。個人的な嗜好では「やさしゅうす」とよみたいです。